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ESGインサイト

EPDとは?環境製品宣言の基本ガイド

EPD(Environmental Product Declaration/環境製品宣言)とは何か、その仕組みや役割、PCFやLCAとの違い、そして自社製品での導入方法について解説します。

Yee Chow
Yee Chow
Head of Sustainability
EPDとは?環境製品宣言の基本ガイド

EPDとは?

EPD(環境製品宣言)は、製品のライフサイクル全体にわたる環境影響を第三者が検証したうえで公開する文書です。原材料の採掘から製造、使用、廃棄に至るまでの環境負荷を、標準化されたデータ形式で示します。
レポートには、温室効果ガス排出量、資源利用、水使用量、廃棄物発生量などが含まれ、ISO 14025、ISO 14040/14044、EN 15804といった国際規格に基づいて作成されます。
EPDは建設業界で広く利用されていますが、建材に限らず、消費財や包装資材など幅広い分野で適用可能です。

なぜEPDを作成するのか?

EPDは、製造業者にとって透明性のある環境パフォーマンスを示す強力なツールとなり、以下のようなメリットがあります。

  • 競争優位性の獲得
    検証済みの環境データを提示することで、製品の差別化やブランド信頼性の向上につながります。
  • 新市場へのアクセス
    公共調達や建築分野などではEPDが求められるケースが増えており、市場参入の条件となることもあります。
  • 認証制度のサポート
    LEEDやBREEAMといった建築系サステナ認証で高評価につながります。
  • サプライチェーン管理の高度化
    より正確な環境データを活用して、調達先や素材の選定を最適化できます。
  • 製品ベンチマークの実現
    自社内の製品比較や競合との比較が可能になります。

PCF(製品カーボンフットプリント)のみを算定するよりも広範で、戦略的に活用できるのがEPDの特徴です。

EPD・PCF・LCAの違い

  • LCA(ライフサイクルアセスメント
    製品のライフサイクル全体での環境影響を包括的に分析。EPDの基礎データとなります。
  • PCF(製品カーボンフットプリント
    製品に伴う二酸化炭素排出量のみを算定。LCAの一部に相当します。
  • EPD(環境製品宣言)
    LCA結果を標準化し、第三者が検証したうえで公開する形式。

単独のLCA(ライフサイクルアセスメント)やPCF(製品ライフサイクルインプリント)と比較して、EPD(環境製品宣言)はより高い信頼性と市場価値を提供します。その標準化と第三者検証により、環境に関する知見が検証済みかつ公認の宣言へと昇華され、公開報告や競争上の優位性確立に適した形となります。

規制と標準化の動向

EPDの普及は、世界的な規制強化や自主的なサステナビリティ基準によって加速しています。

  • EN 15804:建築分野でのEPDに関する欧州規格
  • ISO 14025:環境ラベル・宣言の一般原則
  • ISO 21930:建築分野向けの規格
  • 建築認証:LEED、BREEAM、DGNBなど
  • 公共調達:一部の政府調達ではEPDが必須条件

これらにより、EPDは国際的に通用する標準的なツールとして位置づけられています。

EPD作成のプロセス(例:断熱材メーカーの場合)

  1. LCAの実施:原材料から製造、使用、廃棄までの環境影響を評価
  2. データ集約:排出量、エネルギー、水使用などを整理
  3. 第三者検証:独立機関が標準に基づき確認
  4. 公開・登録:EnvirondecやIBUといった認定プログラムに登録

完成したEPDは、設計者や顧客が製品を比較・選択する際の基準として活用されます。

環境製品宣言(EPD)には通常、以下の重要な要素が含まれます:

  • 製品基本情報:製造元の詳細、製品説明、材料組成など。
  • ライフサイクルアセスメント(LCA)手法:システム境界、データソース、配分ルール。
  • ライフサイクル影響評価(LCIA):地球温暖化係数、資源枯渇、水使用量などの影響を評価します。
  • 検証声明:第三者検証機関がデータと手法の正確性を確認します。
  • 公表:検証済みのEPDは、EPD NorwayやEnvirondecなどのプログラム運営機関に登録されます。

これにより発行されるEPD証明書により、建築家、仕様策定者、クライアントは断熱材製品を代替品と比較でき、建築設計におけるより持続可能な選択を支援します。

EPD作成における課題

EPD開発は技術的に複雑で、以下のようなステップを経ます。

  • 製品に適したPCR(製品カテゴリールール)の特定
  • システム境界の設定とデータ収集
  • LCAの実施
  • EPD報告書の作成
  • 第三者検証
  • 登録・公開

このプロセスには6か月から12か月程度を要する場合があり、検証費用はEPD1件あたり数千ドルに上ることがあります。なお、5年ごとの更新費用はこれに含まれません。
EPDは建設分野で最も一般的ですが、包装、繊維、製造などの他産業においても重要性が増しています。これらの分野では、市場参入において透明性と持続可能性の証明が不可欠になりつつあるためです。

Zeveroができること

Zeveroでは、EPD作成をより早く、効率的に進められるようサポートしています。

  • PCRの選定やLCAの実施支援
  • EPD文書作成から第三者検証の調整まで一括サポート
  • 数か月かかるプロセスを数週間に短縮し、コスト削減も実現
  • LEEDやBREEAM対応、ESG開示との連携もサポート

初めてのEPD作成から、複数製品への展開まで、戦略的にEPDを活用できる仕組みをご提供します。

まとめ

EPDは、単なる環境報告のためのツールではなく、透明性・コンプライアンス・競争力を高める戦略資産です。
規制対応や認証取得に加え、顧客との信頼関係や市場アクセスに直結するため、これからの事業成長に欠かせない存在となっています。
Zeveroと一緒に、自社製品のEPD作成を進め、環境への取り組みを確かな強みに変えていきましょう。

Zeveroがどのように報告作業を効率化できるか、ご紹介します。

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