基礎知識
EPD(環境製品宣言)は、製品の環境影響をLCAで算定し、第三者検証を経て公開する宣言です。取得費用は、主に「LCA算定とEPD作成」「第三者検証」「プログラムへの登録料・加盟料」「社内工数」の4つで構成されます。国内のSuMPO EPDでは、検証料が1件30万円(基本単価、税抜)、プログラム加盟料が企業規模に応じて年20万〜100万円(税抜)と公表されており、ここにLCA算定の費用と社内の作業時間が加わります(SuMPO「EPD加盟方法」)。期間は、従来の手法では半年から1年程度かかるケースも少なくなく、データの準備状況と製品数によって変わります。
なぜ今、EPDの費用と期間を確認する企業が増えているのか
ゼネコンやハウスメーカーから、建材単位でEPDの提出を求められるケースが増えています。制度面では、令和8年7月に改正建築物省エネ法が成立し、建築物ライフサイクルカーボン評価制度が創設されました。国土交通省は、大規模事務所に係る届出制度等の2028年度開始に向けて具体的な制度設計を進めています(国土交通省、2026年10月1日発表)。建物全体のCO2を算定するには建材ごとの環境データが必要になるため、建材メーカーにとってEPDは今後の受注対応の準備にあたります。
EPDの基本的な仕組みやLCA・PCFとの違いについては、EPDとは?環境製品宣言の基本ガイドをご覧ください。
SuMPO EPDとEPD Internationalの比較
日本の建材メーカーが検討する主なプログラムは、国内のSuMPO EPDと、スウェーデンに拠点を置くEPD International(International EPD System、本記事では国際EPDとも表記)です。公表情報をもとに主な違いを整理しました。
| 項目 | SuMPO EPD | EPD International |
|---|---|---|
| 運営 | 一般社団法人サステナブル経営推進機構(SuMPO)。2024年4月に「エコリーフ」から名称変更 | EPD International AB(スウェーデン) |
| 準拠規格 | ISO 14025に基づくプログラム規程(GPI)と製品別のPCR | ISO 14025に基づくGPIと製品別のPCR。建設製品はEN 15804に準拠 |
| 検証 | 事務局がアサインする検証員、または登録検証機関による第三者検証 | プログラムが認める独立した第三者検証者による検証 |
| 公表料金 | 検証料30万円/EPD(基本単価)、加盟料 年20万〜100万円、データ登録料2.5万円/EPD(年1〜10件)。いずれも税抜 | 登録料 1件目€1,000、2〜4件目€500、5〜99件目€100。年会費€515〜€2,575(組織規模別) |
| 有効期間 | 原則5年 | 5年 |
| 相互認証 | 2026年6月にEPD InternationalとPCRの相互承認協定(MRA)を発表。建設分野は対象外 | 2026年6月にSuMPOとPCRの相互承認協定(MRA)を発表。建設分野は対象外 |
出典:SuMPOの料金はSuMPO「EPD加盟方法」と料金規程v4.0.0(2026年4月1日改訂)、EPD Internationalの料金は公式料金ページ(掲載日の記載なし、2026年10月22日時点)、有効期間はSuMPOコミュニケーションガイドラインとEPD International(2025年12月11日)によります。
SuMPOでは、類似製品として認められた場合の2件目以降の検証料が半額(15万円)になる一方、一次データの収集サイトが2か所以上ある場合は2か所目から基本単価の20%が加算されます。また、登録検証機関による検証の料金は各機関が個別に定めます。どちらのプログラムでも、上記の料金にLCA算定やEPD作成の費用は含まれていません。
相互認証につきましては、EPD InternationalとSuMPOが2026年6月25日に相互承認協定を発表しました。対象は両プログラムのPCR(製品カテゴリールール)の相互利用で、建設分野は協定の対象外とされています(EPD International)。建材メーカーは、提出先がどちらのプログラムのEPDを求めているかを先に確認したうえで選ぶのが確実です。世界で取得が多い製品カテゴリとSuMPO EPDの対象範囲については、EPDの取得状況:世界ではどの製品カテゴリが多いのかで解説しています。
EPD取得の流れと期間の目安
SuMPO EPDの公式手順をもとに、主なステップを整理しました。
- PCRの確認:自社製品に合うPCRがあるかを確認します。該当するPCRがない場合は改定や新規策定から始めるため、全体の期間が延びます。
- データ収集:PCRとプログラム規程に沿って、原材料、エネルギー、輸送、製造工程のデータを集めます。多くの場合、ここに最も時間がかかります。
- LCA算定とEPDの作成:集めたデータでLCAを算定し、検証申請書とEPDの原案を作成します。
- 検証申請と第三者検証:検証員が算定内容を確認します。ドイツのIBUは、第三者検証に理想的には約8週間かかるとしつつ、現在は約6か月を見込むよう案内しています(IBU)。
- 結果通知と公開手続き:合格後、登録・公開の手続きを行います。
- 公開と更新:EPDはプログラムのWebサイトに公開されます。有効期間は原則5年で、期限を過ぎたEPDは無効となるため、継続して使うには再検証を受けて更新します。
全体の期間は、従来の手法では半年から1年を要するケースも少なくありませんでした(Zeveroプレスリリース)。
期間と費用を抑えるためのポイント
- 最初にPCRを確認する:対象PCRの有無と、提出先が求めるプログラムを最初に確認すると、後からのやり直しを避けられます。
- データを工場単位で先に揃える:製品あたりの原材料使用量、電力・燃料、輸送、廃棄物のデータを、算定前に担当部署から集めておきます。SuMPOでは一次データの収集サイト数が検証料にも影響します。
- 複数製品をまとめて取得する:SuMPOの加盟料とEPD Internationalの年会費は製品数によらず一定です。さらに、SuMPOでは類似製品の検証料が2件目から半額、EPD Internationalでは登録料が件数に応じて下がるため、まとめて取得すると1製品あたりの費用を抑えられます。
- 補助金を活用する:国土交通省の建築EPD補助金では、最大100%の費用が補助対象となり、上限は1原単位あたり400万円(税込)、1事業者あたり1,000万円(税込)です。申請の流れは建材EPD補助金のページをご覧ください。
総額は、製品数、データの揃い具合、選ぶプログラムによって大きく変わります。まずは対象製品とPCRを確定させ、見積もりを取ることをおすすめします。
Zeveroの支援
Zeveroは、令和7年度に20社・41製品の建材EPD取得を支援し、最短50日でのEPD取得を実現しました。データ収集、計算、報告、検証、公開までのプロセスを専用のEPDツールで効率化しているほか、取得したEPDを建物のLCAツール「J-CAT」へ登録する手続きも代行しています(プレスリリース)。
対象製品のPCRや取得までのスケジュールについては、お問い合わせからご相談ください。
よくある質問
EPDの取得にはどのくらいの費用がかかりますか?
費用は、LCA算定とEPD作成、第三者検証、プログラムの登録料・加盟料、社内工数で構成されます。SuMPO EPDでは検証料が1件30万円(基本単価、税抜)、加盟料が年20万〜100万円(税抜)と公表されています。総額は製品数とデータの揃い具合によって変わります。
EPDの取得期間はどのくらいですか?
従来の手法では半年から1年を要するケースも少なくありません。データ収集と第三者検証に時間がかかることが多く、事前にPCRを確認し、データを揃えておくと期間を短縮できます。Zeveroの令和7年度の支援実績では、最短50日でのEPD取得を実現しています。
SuMPO EPDとEPD Internationalはどちらを選べばよいですか?
提出先がどちらのプログラムのEPDを求めているかを確認して選びます。両プログラムは2026年6月にPCRの相互承認協定を発表しましたが、建設分野は対象外とされているため、建材では提出先の要件の確認が欠かせません。
EPDの有効期間は何年ですか?
SuMPO EPDは原則5年(発売前製品のEPDは最長2年)、EPD Internationalも5年です。期限を過ぎたEPDは無効となるため、継続して使うには再検証を受けて更新します。
EPDの取得に使える補助金はありますか?
国土交通省の建築EPD補助金があり、最大100%の費用が補助対象となります。上限は1原単位あたり400万円(税込)、1事業者あたり1,000万円(税込)です。詳しくは建材EPD補助金のページをご覧ください。
Zeveroがどのように報告作業を効率化できるか、ご紹介します。
ビジネスの成長と環境負荷の低減を両立させる


