
要点まとめ
- 建材・建設製品がEPD全体の圧倒的多数を占めています。
EPD International(EPD Global)が2025年に発行したEPDのうち、86.38%が建材・建設製品関連でした。 - 建材以外のカテゴリでも、着実に取得が広がっています。
食品・飲料、紙・プラスチック製品、金属・鉱物・ガラス製品、化学品、機械・設備、繊維・アパレル、輸送機器など、多様な業種でEPDの活用が進んでいます。 - 地域別ではオセアニア(Australasia)の伸びが際立っています。
ライセンシー発行分のうち約3割をオセアニア地域が占め、北米、トルコ、インド、東南アジアが続きます。 - 日本のSuMPO EPDは、当初から建材以外の分野も幅広く対象としています。
電気・電子製品、化学品、衣料品、飲食料品など、制度設計の段階から業種の幅が広い点が国際的な傾向と異なります。
EPD(環境製品宣言)というと、建材や部材を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。実際、その印象は間違っていません。世界最大級のEPD登録プログラムであるEPD International(EPD Global)が2025年12月に公表した年次データによると、発行されたEPDの86.38%が建材・建設製品に関するものでした。
一方で、残りの1割強には、建材以外の幅広い業種が含まれています。本稿では、この最新データをもとに、世界でEPDが取得されている製品カテゴリの傾向を整理します。
なぜ建材業界でEPD取得がこれほど突出しているのか
建設業界は、世界の原材料消費や廃棄物発生量の中でも大きな割合を占める分野であり、建築物のライフサイクル全体での環境負荷低減が国際的な政策課題になっています。欧州ではCPR(建設製品規則)やESPR(持続可能な製品のためのエコデザイン規則)の改定により、EPDや環境データの提出が段階的に法的要件化しつつあります。また、LEEDやBREEAMといったグリーンビルディング認証制度がEPDを評価対象に組み込んでいることも、建材メーカーによるEPD取得を後押ししています。
日本国内でも、国土交通省が推進する建築物のライフサイクルカーボン削減の流れを受け、ゼネコンやハウスメーカーが建材・部材単位でのEPD提出を求める動きが広がっており、世界的な傾向と軌を一にしています。
建材以外では、どのカテゴリでEPD取得が進んでいるのか
2025年にEPD Internationalが発行したEPDのうち、建材以外の主なカテゴリの内訳は次のとおりです。
- 食品・飲料:186件(3.58%)
- 紙・プラスチック製品:142件(2.73%)
- 金属・鉱物・プラスチック・ガラス製品:120件(2.31%)
- 化学品:89件(1.71%)
- 機械・設備:74件(1.42%)
- 繊維・履物・アパレル:43件(0.83%)
- 車両・輸送機器:38件(0.73%)
構成比としては建材に大きく及びませんが、いずれのカテゴリも件数ベースで見ると着実な広がりを見せています。特に食品・飲料は、建材以外のカテゴリの中で最大の件数となっており、原材料調達や包装に伴う環境負荷の開示ニーズが背景にあると考えられます。
地域別に見ると、どこでEPD取得が進んでいるのか
EPD Internationalが2025年に発行した合計9,395件のEPDのうち、5,455件がEPD International本体、3,941件が各国のライセンシーによる発行でした。ライセンシーの中では、オセアニア(EPD Australasia)が2,739件(ライセンシー発行分の29.2%)と最大の割合を占め、北米(EPD North America)が558件(5.9%)で続きます。そのほか、トルコ(2.1%)、インド(1.7%)、東南アジア(1.3%)も一定の存在感を示しています。
また、2025年10月・11月には中東・北アフリカ地域で新たにEPDチュニジア、EPDサウジアラビアが設立されており、新興市場でのEPD活用の広がりもうかがえます。
日本のSuMPO EPDは、世界の傾向と同じなのか
日本国内の登録プログラムであるSuMPO EPD(旧エコリーフ)は、EPD Internationalのようなカテゴリ別の構成比を公表していないため、単純な数値比較はできません。ただし、制度の対象範囲を見ると、興味深い違いがあります。
SuMPO EPDは累計登録製品数が6,000件を超え、対象となるPCR(製品カテゴリルール)も260件以上にのぼりますが、その対象は建築構造用鋼材や床材といった建設・建築製品にとどまらず、複合機やノートパソコンなどの電気・電子製品、樹脂・化学製品、衣料品、飲食料品まで、制度設計の当初から幅広い業種を対象としています。2025年に入ってからも、電気・電子製品分野を対象とした新たなPCR策定が進められており、建材以外のカテゴリへの拡張が継続的に行われています。
つまり、世界全体で見れば建材が圧倒的多数を占める一方、日本国内のSuMPO EPDは、建材偏重というより当初から業種横断的な制度として運用されてきた側面がある、と言えそうです。
日本企業にとって、この動向はどう読み解けるか
日本国内では建材分野でのEPD取得ニーズが特に強く、報道や案件実績も建材関連が中心です。一方で、SuMPO EPDの制度自体は電気・電子製品や化学品、飲食料品まで対象としており、「建材以外はまだこれから」という状況ではありません。世界的に見ても建材以外のカテゴリでの取得が着実に広がっている中、「自社の業界はEPDと縁がない」と思われている企業でも、対象となるPCRが国内外いずれかで既に整備されているケースは少なくありません。
FAQs
建材以外の業種でも、EPDは日本国内で取得できますか?
対象製品カテゴリのPCRが国際的に存在していれば、日本国内の企業でも取得は可能です。国内に該当するPCRがない場合は、類似カテゴリのPCRの準用や、登録プログラムを通じた新規PCR策定を検討することになります。
EPD Internationalと日本国内の登録プログラム(SuMPO、J-CATなど)の関係は?
EPD Internationalは国際的な登録プログラムの一つであり、国内向けにはSuMPOやJ-CAT(IBECs運営)といった国内プログラムが並行して存在します。提出先が求めるスキームに応じて選択します。
SuMPO EPDでも、建材以外の製品カテゴリのPCRは整備されていますか?
はい。SuMPO EPDは建設・建築製品に加えて、電気・電子製品、樹脂・化学製品、衣料品、飲食料品など幅広い分野のPCRを整備しており、2025年には電気・電子製品分野のPCR策定も新たに進められています。
Zeveroにできること
Zeveroは建材・建築分野のEPD取得支援を中心に、対象PCRの確認から登録スキームの選定、データ収集・LCA算定・第三者検証まで一貫して支援しています。建材以外の製品カテゴリでのEPD取得を検討されている場合も、対象PCRの有無を含めてご相談いただけます。
Zeveroがどのように報告作業を効率化できるか、ご紹介します。
