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ESGインサイト

CDP報告:知っておくべきこと、および開始方法

CDP報告の全体像、誰が対象となるのか、報告書に求められる具体的な内容、そしてZeveroが2025年のCDP開示サイクルに向けてどのように支援できるかをご紹介します。

CDP報告:知っておくべきこと、および開始方法

CDP報告とは?

CDP報告とは、企業や自治体(都市、州、地域)が、CDP(旧カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト)を通じて環境に関するデータを開示するプロセスを指します。これは、温室効果ガス排出量の報告において、世界で最も広く利用されているフレームワークのひとつであり、数千の投資家、顧客、規制当局から信頼されています。

企業はCDPを通じて、自社の温室効果ガス排出量、気候変動リスク、削減目標、バリューチェーンにおける取り組みなどの情報を開示します。これらの回答は毎年スコア化され、自社が環境影響をどのように管理しているかについて、第三者的な視点から評価されます。

CDPへの参加は任意ですが、近年では多くの企業が、投資家、顧客、金融機関などからの要請を受けて報告を行っています。提出内容は、公開するか非公開とするかを選択することができます。2023年には、世界の上場企業の約4分の3を含む、23,000を超える組織がCDPを通じて情報を開示しました。

誰がCDP報告を行うべきか?

CDP報告は任意であるものの、多くの企業が投資家、顧客、金融機関からの正式な情報開示要請を受けて報告を行っています。これらの要請はCDPのプラットフォームを通じて発信されており、さまざまな業種でこうした要請が増加しています。

一方で、そうした要請がなくとも、自主的にCDP報告を行う企業もあります。たとえば、自社の気候変動対応への姿勢を示したい、社内の管理体制を強化したい、今後義務化が進むESG開示に備えたいといった目的です。これには、中堅規模の製造業、大手企業のサプライヤー、CSRDやISSBといった基準への対応が求められるブランド企業などが含まれます。最近では、バリューチェーン全体の透明性が調達の前提条件となりつつある中で、非上場企業によるCDP報告も増加しています。

気候変動への取り組みを強化したいと考える企業にとって、欧州を始めアジアにおいても、CDP報告は急速に「当たり前の前提」となりつつあります。

CDP報告のプロセスはどのように進むのか

CDPでは、毎年構造化された情報開示サイクルが実施されています。企業が正式に報告を要請された場合でも、自主的に開示を行う場合でも、基本的なプロセスは同様です。CDPは年初に、最新の質問票およびスコアリング方法を公表します。これらは業種や地域ごとに調整されており、各企業にとって実務的で関連性の高い内容となっています。多くの企業は「気候変動」に関する質問票に回答しますが、事業内容によっては「水資源」「森林」「プラスチック」「生物多様性」に関する質問票にも対応するケースがあります。

報告期間が始まると、CDPの「オンライン回答システム(ORS)」を通じて提出を行います。提出された情報は、回答の網羅性と内容の質に基づいて評価されます。情報開示の内容が公開された場合、その情報は投資家、調達プラットフォーム、ESG評価機関などによって活用されます。

CDP報告提出のステップ

1. 登録と質問票へのアクセス

まずはCDPのポータルサイトを通じて参加登録を行い、情報開示を行う意思を表明します。登録が完了すると、自社の業種や地域に応じた質問票へアクセスできるようになります。質問票には、温室効果ガス排出量、ガバナンス体制、気候リスク、削減目標など、気候関連のトピックが含まれています。一部の企業には、森林、水資源、プラスチック、生物多様性に関する追加モジュールも適用されます。

2. ガイダンス資料とスコアリング方法の確認

CDPは毎年、質問票の解説資料やスコアリング基準を更新しています。これらを事前に確認することで、求められている内容の理解や、自社のデータ収集・回答方針の整理に役立ちます。早めの確認が、社内の準備を円滑に進めるうえで重要です。

3. データの収集と検証

このステップは、最も時間を要する作業です。サステナビリティ、オペレーション、調達、財務など複数の部署をまたいで、定量・定性の両面から必要な情報を集めます。Scope1、2、3の排出量、気候リスク評価、ガバナンスに関する情報などが対象となります。報告対象の範囲や単位、指標などは、全体を通して一貫性を保つことが重要です。

4. オンライン回答システム(ORS)を通じた提出

データの準備が整ったら、CDPのオンライン回答システム(ORS)に情報を入力します。このシステムでは、入力を途中で保存したり、後から修正を加えたりすることが可能です。補足資料のアップロードや、一部の項目で「説明に留める(Explain)」という形で対応することもできます。

5. 提出後の確認とフィードバックの受領

提出後、CDPが内容を確認し、公開回答を選択した場合にはスコアが付与されます。あわせて、来年の改善に役立つ構造的なフィードバックも提供されます。スコアは通常、第4四半期に発表され、投資家や調達担当者、ESG評価機関によるパフォーマンス評価に活用されます。

CDPのスコアリング制度

CDPでは、組織の環境対応の成熟度を反映する段階的なスコアリング制度が採用されています。企業は、開示の詳細度や戦略の充実度に応じて、AからDまでのスコアで評価されます。最高評価のAは、気候変動リスクに対する高い透明性と、明確で実効性のある対応戦略を備えた企業に付与されます。一方、開示は行っているものの内容が限定的であったり、取り組みが初期段階にある企業は、CやDと評価されることがあります。なお、CDPから正式に情報開示を要請されたにもかかわらず、回答を行わなかった企業には「F」の評価が付与されます。

Level Score Range Description Example
Disclosure D-, D Completeness of reporting. Basic data shared, but no clear action or analysis. Reporting emissions without any mitigation strategy.
Awareness C-, C Understanding of environmental risks and how they relate to the business. Recognising climate risks like water scarcity, but no action is taken.
Management B-, B Evidence of managing environmental impacts through structured actions. Setting reduction targets, using renewable energy, and tracking progress.
Leadership A-, A Demonstrating best practices and strategic climate integration. Committing to science-based targets, engaging suppliers, and influencing policy.

2025年 CDP報告に関する主なスケジュール

  • 2025年1月:CDPが、最新の質問票およびガイダンス文書を公開
  • 4月28日週:オンライン回答システム(ORS)が開放され、企業はデータの入力・報告の準備を開始可能
  • 6月16日週:正式な報告受付期間が開始
  • 9月15日週:この週までにORS経由で回答を提出しないと、2025年のCDP評価対象にならない可能性あり
  • 11月17日週:最終提出期限

質問票の翻訳版は、2025年5月以降に提供予定です。なお、正確な提出期限は業種によって若干異なる場合がありますので、必ずCDPからの通知をご確認ください。

なぜCDP報告が重要なのか

CDPへの報告は、単なる情報開示にとどまらず、企業の気候変動対応力を可視化する重要な手段となっています。

  1. パフォーマンスのベンチマークになる:CDPスコアは、投資家、顧客、ESG評価機関が企業の気候変動対応の成熟度を評価する際に使用されます。
  2. 規制対応の準備になる:CDPへの報告を通じて、CSRDやISSBなどの義務化が進む開示制度への基盤が整います
  3. 意思決定の質を高める:CDP報告に向けた準備を通じて、より正確なデータの収集、明確な目標設定、ガバナンスの強化が促進されます。
  4. ステークホルダーへの信頼のシグナルになる:CDPの要請に応えることは、気候課題に真剣に取り組んでいることを社外に示す強力なメッセージとなります。

ZeveroによるCDP報告支援

Zeveroのサステナビリティチームは、Scope1、2、3の排出量データの精緻化、報告のギャップの特定、CDPの2025年要件への整合を支援します。当社のESG情報開示支援ツールを活用することで、必要な文書をアップロードし、CDP質問票へのドラフト回答を短期間で自動生成できます。これにより、従来数週間かかっていた報告作業を数日に短縮することが可能です。正式な要請への対応でも、透明性を重視した自主開示でも、Zeveroは信頼ある提出のための構造とサポートを提供します。

最後に

CDP報告は、もはやチェックボックスを埋めるだけの業務ではありません。それは、投資家や顧客、規制当局に対し、「自社は気候変動に本気で取り組んでおり、その裏付けとなるデータを持っている」という姿勢を示す行動です。情報開示への期待が高まる今、早期に準備を始めた企業こそが、規制対応を先取りし、ESG評価を高め、透明性の高い経済においてリーダーシップを発揮できる存在となります。2025年にCDPへの報告を検討している企業は、今こそデータを整備し、戦略を明確化し、自信を持って提出できる体制を整える時期です。

Zeveroがどのように報告作業を効率化できるか、ご紹介します。

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